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【春の岩山見続けて・・・】盛岡市民の憩いの場 開店から15年の喫茶店店主が新たな挑戦 岩手

 続いて特集です。岩手県盛岡市にある小高い岩山で、春を見続けてきた喫茶店の店主を紹介します。開店から15年、岩山の新たな挑戦にも取り組んでいます。  盛岡市民にはなじみ深い、標高340mほどの岩山。暖かい春の陽気で、岩山も散策するにはピッタリの季節となりました。  喫茶GEN・KI店主 久保田 剛さん(54) 「これからやっぱり新緑がきれいになったりとか、あとは岩手山に雪が積もったりとか、それがだんだん解けて夏の山になっていったりとか。そういう風景はやはり四季折々で楽しめますね」  展望台の下に店を構える「喫茶GEN・KI」。埼玉出身のマスター久保田剛(たかし)さんは、20年前に盛岡に移住し、2009年にこの喫茶店をオープン。以来、岩山の春を見続けてきました。  久保田さん 「もともと私埼玉の出身で、大通でずっと飲み屋さんをやってたんですよ。ある出来事というかきっかけがあって、初めて岩山に上がってきたんですけどね。それでここからの景色に本当に感動して、たくさん見てきた風景の中でも、ここから見る風景は本当に特別なものを感じて。だんだんやはり、この近くの花もそうですけど、街の木々とか桜の色とか見えるんですよ。季節が巡ってるなということは春は特に感じます」  久保田さんが岩山に魅せられたように、春の陽気に誘われてお店には3人組のお客さんがやってきました。  来店客 「樹木がいっぱいだしね。緑だから…どこからも見えるしね。やっぱりいいですよ」  来店客 「キレイですね~こんな景色見れて。あと遊園地の観覧車にもすごく感激しました」  4月16日。夕方になると、お店にはたくさんのお客さんの姿が。実は「喫茶GEN・KI」にとってこの日は特別な日でもあるのです。  久保田さん 「きょう4月16日がオープン記念日でございまして、きょうでちょうど15年になるんですよ。それで私の大好きな大場冨生さんにライブを記念としてお願いしまして」  そう、この日はオープン15周年の記念日。久保田さんと親交のある版画家の大場冨生さんによる記念コンサートを開催し、お客さんを楽しませていました。  常連客 「僕は2012年の6月からここに来てます(Q一番好きな季節はどうですか?ここから見る…)今がいいんじゃないですか、やっぱり。冬の厳しさも無くてこの残雪が残ってる岩手山と、下では桜の花を愛でて歓喜する住民や観光客がいるこの盛岡。今の季節が一番いいんじゃないですか。いい時に来ました!」  オープンから15年。久保田さんが大切にしてきたテーマが「人と自然の調和」。そして久保田さんは、そのテーマを具体的な形にするため、去年から新たな取り組みを始めています。  久保田さん 「ここがですね『四季園』という元植物園と、当時動物園も一緒にあったんですけどね。私ここを譲って頂くことになったんですよ。私も『人と自然の調和』をテーマに何か岩山でできるんじゃないかと思っていて、もしここが使われてないのであれば、元植物園ですし何か活用できないかなと」  ここ「四季園(よきえん)」は、もともとシベリア抑留を経験した中野崎寅吉さんが開き、かつては植物園や動物園などでにぎわいを見せていました。しかし、 およそ20年前に閉園して以来、施設内にあるシベリア抑留の資料館などは手付かずの状態で放置されていたのです。  久保田さん 「もともとからすると、だいぶスッキリした感じなんですよ。ここでコンサートをやることを思いついて、『優しい気持ちコンサート』というのをやったんですけど。スタートはボロボロですけど、ここから少しずつきれいになったり明るくなったりとか、成長していくというか…」  20年間、時が止まったままの「四季園」。シベリア抑留の悲惨さを伝える大切な場所を取り戻すため、久保田さんはもう一度再生しようと奮闘しています。そして、園内にはこんな石碑が…。  久保田 「こちらがですね『杏の花』の碑になりますね。収容所のお仲間の方で音楽の先生がいらして、その方が『杏の花』という歌を作ったんですよ。それは寒い冬を乗り越えて、暖かい春をイメージして、希望を持ってみんなで歌おうという歌だったと思うんですけど。抑留されている時もみんなでそれを歌ったと思うし、ここで『杏の花』を皆で歌いたいなと思って。やはり『人と自然の調和』ということをテーマに動物公園もありますし、自然も沢山ありますしね。小さいですけど、少しずつ活動している感じですね」  この地で迎える15回目の春。岩山の再生に向け、久保田さんは春の門出を迎えています。

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