28日、「春の褒章」の受章者が発表され、岩手県内からは一つの団体と8人が選ばれました。 このうち、岩手県釜石市の鍼灸師の男性が黄綬褒章を受章します。 喜びの声を釜石支局柳田記者が取材しました。 岩手県釜石市で治療院を営む中村亮さん70歳。1982年にこの治療院を開業し、42年にわたり治療を続けてきました。 その長年にわたる功績が評価され、今年の「春の褒章」、黄綬褒章に選ばれました。 中村亮さん 「褒章みたいなものを頂くほどのことじゃないなと思っているんだけど、評価していただいたのはありがたい」 元々強い近視だった中村さんは高校1年生の時網膜剥離の影響で左目を失明、高校卒業後の20歳の時右目も失明し、全盲になりました。 その後、手に職をつけようと22歳の時、盛岡市の盲学校へ入学し、鍼灸(しんきゅう)師の勉強をはじめました。 卒業後栃木県で3年間、マッサージ師として働き、1982年、釜石市へ戻り治療院を開業、岩手県視覚障害者福祉協会釜石支部長を30年以上務めるなど患者と視覚障がい者に寄り添ってきました。 しかし、2011年、東日本大震災が起きて津波が釜石市を襲い、中村さんの治療院も被害を受けました。 地震が発生した時、中村さんは治療院にいましたが、何とか避難し命が助かりました。 中村亮さん 「何か落ちてるものは無いか2階、3階を見て下りてきたら妹が来て逃げっぞ。隣の人かな一緒に逃げましょうと」 近くの中学校跡地に避難し助かった中村さん、それから、避難所生活、仮設住宅の生活が続きました。 被災した治療院を直し、2012年2月、元の場所で治療院を再開しました。 中村亮さん 「やっぱり皆さんにいろいろ手伝ってもらい助けてもらいましたからね。私は治療を通してしかできないけど、視覚障害、福祉を通して視覚障がい者はこういうことだよって分かってもらうための努力もしなくちゃならない」 あと10年は仕事を続けたいと話す中村さん。 これからも、患者と視覚障がい者ために寄り添い続けます。
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